受賞作品の発表

2014年8月1日(金)より9月7日(日)までの約1ヶ月募集しましたLOFT & Fab Award 2014は139点ものご応募をいただきました。たくさんのご応募ありがとうございました。デジタル加工技術によるひとりひとりのものづくりを競う、というテーマのもと、改めて気づかされる視点や新たな切り口など、さまざまなご提案をいただきました。厳正なる審査、また一般投票にて以下のように受賞作品が決定しましたのでご紹介いたします。


授賞式のイベント風景


審査風景


総評

廣村正彰

Hiromura Masaaki

アートディレクター

今回、第一回目の審査であり、今後この賞が継続していくために審査員全員で選考の基準を明解にしようと議論しました。
 部門が分かれていますが、すべてに共通することはオリジナリティとユニークさです。出品する方々はプロのデザイナーもいれば、趣味で楽しんでいる方など様々です。生活を豊かにするちょっとしたアイディアを大切に見極めようと話をしました。
 プロダクト部門は商品化を前提としているので、気合いの入った作品がたくさん応募されました。量産化に適しているか、市場で受け入れられるのか、など多くのチェックポイントはありますが、どこにもない新しさが重要です。どこかで見たことがありそうな類似性は問題になります。
 カスタマイズ部門は加工を加えることで、個性的に変化させたり、本来の商品をさらに使いやすくバージョンアップさせるアイディアが重要です。機能的でなくても面白いものは大歓迎です。
 科学や技術の進歩は生活を一変させます。生活を楽しくするためにこのアワードが盛り上がることを期待します。

最優秀賞

作家名:MoNo

作品タイトル:leaf

インテリア空間を華やかに演出するアートプロダクトです。ほのかな風に揺れ動く立体的な表情が魅力です。住まいや店舗の窓辺スクリーンや部屋の間仕切り、テーブルランナーとして使用できます。

廣村正彰

Hiromura Masaaki

アートディレクター

窓から差し込む日差しはロールペーパーにあたり、爽やかな風に木漏れ日が揺れる。そんな気持ちのよい休日の午後を想像する作品である。カーテンでもブラインドでもないこのシートは、レザーカットされた葉が少しカールして立体に立ち上がる。葉のモチーフは連続することで抽象的なタペストリーにもなる。

プロダクト部門

LOFT&賞

作家名:坂本睦月

作品タイトル:DEMAE BOX

『DEMAE BOX』はレーザーカットした板材を組み立てて作る、頑丈で携帯性に優れた箱です。名前を彫刻したり、贈り物用にデコレーションもできるので、自分好みにカスタマイズできます。

安藤公基

Ando Kohki

株式会社ロフト 商品部長

このDEMAE BOXはベニア材の工作作品として視ると、決して目新しくは映らないかもしれない。糸鋸ややすり、接着剤などを使った木製工作の経験は誰しもがあるからだ。
 しかしながらこの作品は、レーザーカッターを駆使することで、岡持ち風スライド蓋のスムーズな開閉や接着剤を使わないジョイントでの組上げ、外観のカスタマイズ等を可能にしている。
 新たなデジタル加工技術がモノづくりの可能性を広げる好事例として共感を得たのだと思う。

アップサイクル賞

作家名:上村真由

作品タイトル:ちくたくコップ

カップフォルダーの穴を利用し、コップの底に時計を設置。目盛など、既製品同士が運命かの様にフィットし合っています。実際に時計は動き、防水加工を施してあるため、コップとしても使用可能。

掛井賢治

Kakei Kenji

株式会社ロフト 商品開発部長

ただの再利用のではなく、すでにあるものに違う要素のものを加えて新しい価値を生み出すという視点をとらえたアップサイクルの模範的な作品である。カップフォルダーと時計があまりにもフィットしているため完成度が高く、レーザーカッターで加工したものとはわかりにくい作品ですが、ユニークなコンセプトと普段使いの日用品であることが好感触であった。

カスタマイズ部門

LOFT&賞

作家名:影山友章

作品タイトル:SHINKANSEN TRIP TUMBLER

路線図はホワイト、風景は茶褐色で印刷した着せ替えフィルムにより、飲み進めるごとに車窓と同じ景色が浮かび上がる、新幹線乗車中のひと時に、ちょっとした喜びを提供してくれるタンブラー

芝崎信明

Shibasaki Nobuaki

株式会社マガジンハウス
& Premium(アンド プレミアム)
編集長

透明フィルムにも美しい印刷が可能で、かつ透明度の高いインクを使うというUVプリンターの2つの特長をうまく生かしたユーモアのある作品。印刷部分にも透け感が出ることが効いています。このアイデアを使えば、飲み進むにしたがってメッセージが出てきて思いを伝える「伝言タンブラー」などもできそう。UVプリンターなら好きな言葉を簡単にカスタマイズできますし。

&Fab賞

作家名:山本 惣一

作品タイトル:hang adapter(ピンチ用ジョイント)

無印良品の「ポリプロピレン洗濯用ハンガー」と「ピンチ」を組み合わせて使うジョイントです。衣類を引くだけでピンチが開きます。衣類をスマートに取り込めれば洗濯も少しだけ楽しくなるかも。

田中浩也

Tanaka Hiroya

慶應義塾大学准教授

今回は「プロダクト部門」と「カスタマイズ部門」に分かれての審査であったが、そのどちらにもはっきりとは分類できない、「あいだ」に位置するような提案が大変多かった(こうしたものは「セミ・プロダクト」と呼ばれ始めている)。その中で最も印象に残ったのがこの作品である。既存の道具と道具をつなぐようなアイテム。このような3Dプリンタの使い方を、わたしは「新しい接着剤」と呼んでいる。
 "Fab"の可能性とは、単に便利に3Dプリンタやレーザーカッターを使うだけではない。これまで社会に埋もれていた価値を見つけ出したり、新しいジャンルをいち早く発見して開拓したりすることがその重要な意義である。「どちらにもはっきりとは分類できない」ものがこれからも多数生まれてくることを期待したい。

一次審査通過作品の展示について

今年ロフトは、デジタルファブリケーション技術を活用した個人によるモノづくりを応援するため、3D プリンターやレーザーカッター、UVプリンターなどのデジタル加工機で生み出された生活雑貨を募集するコンテスト「Loft&Fab Award2014」を立ち上げました。今回ロフトフォーラムでは、応募のあった作品の中から一次選考を通過した作品を一堂に展示いたします。また、展示作品の中から最優秀賞をはじめ各部門賞の決定、発表を予定しております。

  • プロダクト部門

    商品化を前提にデジタル加工機を主体的に活用することで作られた「プロダクト開発作品」が対象。また、既存の商品にデジタル加工を施し、別の用途を持たせるアップサイクル作品も対象。

  • カスタマイズ部門

    既に販売されているロフトまたは無印良品の商品にデジタル加工を部分的に加えることで、商品の魅力や価値を高めた「カスタマイズ作品」が対象。

さらに良品計画(無印良品)のハウスデザイナーが自社商品を素材としてカスタマイズした商品の展示、「You Fab GlobalCreation Awards 2014」からの招待作品の展示を予定しています。


展示会基本情報

展示期間

2014年10月21日(火)〜 11月3日(月・祝)

会場

西武渋谷店Movida(モヴィーダ)館7F ロフトフォーラム

時間

10:00 〜 21:00

アクセス

〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町19-6
渋谷駅をマルイシティ渋谷店方面へ向かい、神南一丁目の交差点を左折。
渋谷公園通りを直進、左手に位置しています。